6月 2, 2008 | In: 未分類

エンタの神様を見て芸人さんのキャリア形成を心配してみた

私の大学の後輩で、「夜ふかしの会」というコントユニットをつくってお笑いを頑張ってる子達がいて、そのメンバーの一人である鬼頭くんがエンタの神様に出演するということで、大変久しぶりにTVを見ました。

鬼頭くんは本を紹介するネタをやってました。
当たり前なのだけど、ちゃんとやってて、ちゃんと受けてたので、ほっとしました。

私は「夜ふかしの会」の前身である「ガリガリ暴力団」(ちなみに『ガリガリ』も『暴力団』もマスメディアに出る場合はNGワード・・・)で演劇制作のスタートを切りました。
にもかかわらずTVをさっぱり見ないため、ネタをDVDかライブでしか観たことがないという偏った人間なので、エンタも初見だったのですが、なんというか、面白い面白くないは置いて、どの芸人が今後伸びるかとかそういう視点では見づらい番組なんですね。

ライブなんかだと客席の笑いが一つのベンチマークになるし、人気のある芸人には長い持ち時間が与えられるので構成力や客を飽きさせない引き出しの 多さなんかが見えるのですが、エンタは観客が訓練されすぎてて反応の違いが見えず、2〜3分で次々と人が入れ替わっていくので、見終わった後に何が面白い のかという自分の中の基準が撹乱されたような気分になりました。

これは見てる側だけでなく、出る方もそうであるらしく、別の芸人さんもエンタに出た時「客席は何言っても笑うし、ディレクターにダメ出しもらいに行っても『よかったよー』としか言ってもらえないし、全然自分のネタの出来がわからなくて不安になった」と言ってました。

前述の「夜ふかしの会」の主宰のオカダが、人力舍というお笑い事務所の養成所講師をやっていて、基礎演技を教えられる講師を探しているということ で先日引き合わせをしたのですが、その際に「養成所に入ってくる子たちはTVのお笑いしか観てないので、ネタを考える方にばかり意識がいってしまって、そ れを表現する訓練に身が入りにくい」みたいなことを言っていたのですが、確かにエンタに出ること等を基準にしてしまうとその後のキャリア形成が大変そうで す。

実際にTVに出るためにはまずライブで受けるようにならなければお声がかからないという状況があります。
そのために芸人さん達は日々ネタを磨くわけですが、その精進の甲斐あってTVに自分の席を確保できたとしても、そこにあるのはネタを披露する場ではなく、バラエティの司会だったり雛壇だったりするわけで。

上がりのポジションでは練り込んだネタよりも瞬発力だったり仕切り能力の方がものを言うわけです。
そして一方でエンタのような番組ではわずかな時間の中で自分をアピールするために、かなりキャラに依存したネタを出さざるをえないように見えます。
それが必ずしも悪いとは言えませんが、キャリアアップのために必要なスキルと、キャリアアップした後に必要なスキルにギャップが有りすぎるように見えるのが「大変そう」な原因かもしれません。

どんな仕事であっても外から見るイメージと実際の仕事内容にギャップがあるのが普通なので、「芸人志望の若者は甘い夢ばっか見て足下がおろそかに なってる!」なんて言う気はないのですが、サラリーマンと違ってオールオアナッシングな業界なので、その辺の意識を早めに切り替えて、一人でも多くの面白 い芸人が育つといいな、と思います。

とりあえず、「夜ふかしの会」は何年もがんばって活動を続けているのでいつか花を咲かせますように。
こちらに何本か映像になってるネタがありますので、ご興味ある方はどうぞ。
http://www.owarai.tv/index.php?module=UsersActorTV&action=Top&id=152

今日のはてなハイク:名言っぽいこと言ってみようぜ

“君の携帯を見せてみたまえ。君がどんな人間か当ててみせよう”